ノルウェーのクルーズ船の中で迎えるクリスマス
OVERSEAS
ノルウェーのクリスマス
世界中にはいろいろなクリスマスの過ごし方があり
特にクリスチャンではなくても、
なんとなく意識して過ごすクリスマス。
ある年、私たち家族はクリスマスを
ノルウェーのクルーズ船の中で迎えることになった。
船室の窓辺に飾るように
私は一対のエンジェルの置物と
ロシアのクリスマスツリーのマトリョーシカを
持って行った。
ノルウェーの港町ベルゲンの魚市場で買った
ゆでたばかりのプリップリのエビを頬張りながら
私たちは北極圏のノースポールへ行くクルージング船に乗った。
冬のクルーズは、夏のそれとは違い
静かに時が流れる。
北に位置するノルウェーの冬は太陽が昇らない。
憂いを帯びたブルーの空が
ほんの少し明るくなったかと思うと、
また暗くなっていく、
しかし不思議なほど、
暗くても陰鬱な感じはしない。
常に太陽と星が共存している感じ。
厳かでムーディーなのだ。
船は静かに雄大なフィヨルドを遡り
大海に出て北極圏へと進む。
途中オーロラでも見えそうなものだけれど
以外と見えない。
夫と私は、あの一瞬の光のカーテン
それは、ほんのお団子屋さんの店先の暖簾くらい小さなものだったけれど、
あれがオーロラだったと、今でも信じている。
途中の寄港地で
暗い中、大草原で大きな月に向かって
笑うちゃうくらい毛布をグルグルに巻いて
何十頭もの犬ぞりに乗せてもらった時は
宇宙にいるみたいで
寒さなんて感じないくらい楽しかったし。
北極圏のノースポールでブリザードが吹く中
飛ばされそうになりながらスーパーマーケットへ行ったら
駐輪場に止まっていたのが、車輪の代わりにソリが付いた
押し車だったりしたのも、大きな発見だった。
子供たちはその時、10歳を筆頭に8歳と6歳だったけれど
今でもそのノルウェー旅は、強く印象に残っているようだ。